産後・骨盤ケア

産後の骨盤と身体——産後ケアで大切にしていること

2026年3月4日|てぃーぐすい 院長 玉城潤
「骨盤が開いたまま」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。産後の身体に何が起きているのか、なぜ放置すると全身に影響が広がるのか。そして、いつから・どんなケアが必要なのか。産後の身体と正直に向き合うために、大切なことをお伝えします。

産後の骨盤に何が起きているのか

妊娠中、身体は「リラキシン」というホルモンを分泌します。このホルモンの役割は、出産時に赤ちゃんが産道を通れるよう、骨盤の靭帯をゆるめることです。靭帯がゆるむことで骨盤全体が開き、出産という大仕事を可能にします。これは身体の正常な反応であり、問題ではありません。

問題は、出産後も骨盤が元の状態に戻りきらないまま日常生活が始まってしまうことにあります。産後は授乳・抱っこ・夜間の世話と、身体を休める暇もなく動き続けなければなりません。骨盤が不安定な状態で体幹や股関節に繰り返し負荷がかかり、周囲の筋肉が誤った使われ方を覚えてしまうのです。

リラキシンの分泌は産後もしばらく続き、授乳中は特に長く残ります。この時期は靭帯がまだやわらかく、骨盤の位置が影響を受けやすい状態です。逆に言えば、この時期こそ正しいアプローチで身体を整えるチャンスでもあります。

「骨盤が開いたまま」が全身に与える影響

骨盤は身体の土台です。家の基礎が傾いていれば、壁にひびが入り、屋根がゆがむように——骨盤の歪みや不安定さは全身の構造を連鎖的に崩していきます。産後によく見られる症状と、その背景にある骨盤との関係を確認してみましょう。

腰痛・股関節痛

骨盤の安定が失われると、腰椎(腰の骨)と股関節が本来以上の仕事を引き受けます。特に抱っこや授乳の姿勢は、前傾・後傾・左右への偏りを固定化しやすく、一側の股関節や仙腸関節(骨盤の後ろ側の関節)に慢性的な負担がかかります。「抱っこするたびに腰が痛い」という状態は、骨盤の不安定さが根本にあることがほとんどです。

恥骨痛・尿漏れ

骨盤底筋群(骨盤の底を支える筋肉群)は、出産によって大きなダメージを受けます。骨盤が開いたままでは骨盤底筋群が正しい張力を取り戻せず、くしゃみや笑い、ジャンプの際の尿漏れ(腹圧性尿失禁)が続くことがあります。恥骨の結合部分が不安定になり、立ち上がりや歩行時に痛みを感じるケースも珍しくありません。

お腹のぽっこり・体型の変化

産後のぽっこりお腹は「脂肪の問題」だけではありません。骨盤が前傾したまま固まると腰が反り、お腹が前に突き出た姿勢が定着します。また腹直筋離開(お腹の真ん中の筋肉が離れた状態)が残っていると、インナーマッスルの機能が十分に回復せず、お腹に力が入りにくくなります。ダイエットや筋トレだけではなかなか変わらない体型の背景に、骨盤と体幹の問題が潜んでいることは多いです。

肩こり・首こり・疲れやすさ

骨盤の傾きは背骨全体のカーブに影響します。腰椎の前弯が強くなれば、バランスをとるために胸椎(胸の背骨)が丸まり、頭が前に出た姿勢(スマートフォン首・猫背)になります。この姿勢では首や肩の筋肉が常に緊張し、慢性的な肩こりや頭痛の原因になります。「授乳が終わったのに肩こりが治らない」という方の多くで、骨盤から続く姿勢の歪みが確認されます。

POINT

産後の不調は「産後だから仕方ない」ではありません。骨盤・体幹・骨盤底筋群がどういう状態にあるかを正確に評価し、それぞれに合ったアプローチをとることで、症状は確実に変化します。

いつから産後ケアを始めるべきか

産後ケアを始めるタイミングについて、よく「産後1ヶ月が目安」と言われますが、これは一般的な目安にすぎません。身体の回復には個人差が大きく、分娩の状況(自然分娩か帝王切開か、会陰切開の有無など)によっても大きく異なります。

てぃーぐすいが産後ケアで大切にしていること

当院に来られる産後の方のほとんどが、「腰が痛いから骨盤を戻してほしい」「体型を戻したい」という目的でいらっしゃいます。もちろんその目的には全力で向き合います。ただ、当院が最初に確認するのは「なぜその腰が痛くなったのか」です。

骨盤の位置だけを操作しても、その骨盤を歪ませている動き方・姿勢・筋肉の使い方のクセが変わらなければ、すぐに元に戻ります。産後の忙しい日常の中でどんな姿勢で授乳しているか、抱っこの仕方、立ち上がり方——こうした「24時間の過ごし方」の中に、身体が戻りにくい理由が必ずあります。

1回のセッションで変化を感じていただく

てぃーぐすいでは90分の完全マンツーマンセッションの中で、状態の評価・施術・セルフケア指導まで行います。「今日だけで変わった」という体験を作ることを大切にしています。痛みが引いた、身体が軽くなった、呼吸がしやすくなった——そういった変化を1回で感じてもらうことが、セルフケアを続けるモチベーションになるからです。

「卒業」を目標に

当院の目標は、通い続けてもらうことではありません。自分の身体を自分でコントロールできるようになること——「卒業」が、てぃーぐすいが目指すゴールです。産後の身体は変化が早く、正しい方向に働きかければ驚くほど回復します。セッションで得た気づきとセルフケアを日常に取り入れることで、院にいない時間こそが身体を変えます。

HOME CARE — 産後に今日からできること

産後ケアに関するよくある質問

Q. 産後2年以上経っていますが、今からでも変わりますか?

はい、変わります。骨盤の位置・体幹の機能は年単位で経過していても改善できます。ただし時間が経つほど「誤った使い方」が定着しているため、より丁寧な評価とアプローチが必要です。「もう遅い」ということはありません。

Q. 子連れで通えますか?

完全マンツーマンのプライベート空間でのセッションです。お子様の状況についてはご予約時にご相談ください。

Q. 骨盤ベルトは使った方がいいですか?

骨盤ベルトは産後直後の不安定な時期に補助的に使うものです。長期間依存すると、本来自分の筋肉が担うべき安定機能が育ちにくくなります。当院では「ベルトなしで安定できる身体」を目指したアプローチをとっています。

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