頭痛・首こり・肩こり

頭痛・首こりの本当の原因——肩より上だけの問題ではない

2026年10月12日|てぃーぐすい 院長 玉城潤
「首を揉んでもらうと一時的に楽になるが、翌日にはまた張ってくる」——この繰り返しに疲れている方は多いはずです。なぜ揉んでも変わらないのか。その理由は、頭痛・首こりの原因が首や肩ではなく、もっと下——胸椎・肩甲骨・呼吸パターンにあるからです。

「揉んでも変わらない」のはなぜか

首や肩の筋肉が「こっている」状態は、筋肉そのものに問題があるのではなく、その筋肉が過剰に働き続けなければならない理由があるということです。マッサージや温熱で一時的に緊張を緩めても、その筋肉を緊張させている根本の原因が変わらなければ、数時間〜数日で同じ状態に戻ります。

首・肩まわりの筋肉が過剰に緊張する主な理由は3つあります。

  1. 胸椎(背骨の中央部)の可動域の低下
  2. 肩甲骨の動きの悪さ(肩甲骨周囲筋の機能不全)
  3. 呼吸パターンの乱れ(浅い胸式呼吸の習慣化)

この3つが重なっているケースがほとんどです。順番に見ていきましょう。

胸椎の硬さが首に与える影響

背骨は頸椎(首)7個・胸椎(胸)12個・腰椎(腰)5個で構成されています。胸椎は本来、回旋(ひねり)と伸展(後ろへの反り)の動きを担っています。ところが、デスクワーク・スマートフォンの使用・長時間の座位など現代の生活習慣は、胸椎を前に丸めた姿勢(胸椎後弯の増大)で固定しやすく、胸椎の可動性を著しく低下させます。

胸椎が硬くなって本来の動きができなくなると、身体はその不足分を上下で補おうとします。特に影響を受けやすいのが「上」——頸椎(首)です。胸椎でできないはずの回旋・伸展を首が代わりに担うようになり、頸椎への負担が慢性的に増大します。

「デスクワークで同じ方向を向き続けると首が痛くなる」という方は、胸椎の回旋制限により首だけで動こうとしている状態です。首を揉んでも胸椎の硬さは変わらないため、症状は戻り続けます。

CHECK

壁を背にして立ち、頭・背中・かかとを壁につけてみてください。腰の隙間が手のひら1枚以上あく、または頭が壁につかない場合、胸椎の伸展制限が起きている可能性があります。

肩甲骨の動きが悪いとなぜ首に影響するか

肩甲骨は胸郭(肋骨)の背面に浮いた状態で存在し、周囲の17種類の筋肉によって支えられています。腕を上げる・引く・押すといった動作はすべて、肩甲骨の動きと連動して行われます。

この肩甲骨の動きが悪くなると(肩甲骨が内転・上方回旋・前傾した位置に固定されると)、腕の動作のたびに不足する肩甲骨の動きを首や腰が補うことになります。特に問題になるのが肩甲骨の外転・上方回旋を担う前鋸筋の機能低下です。前鋸筋が弱くなると、僧帽筋上部(首の付け根から肩にかけての筋肉)が代わりに働きすぎ、慢性的な肩こり・首こりを生み出します。

「肩がいつも上がっている感じがする」「肩をほぐしても翌日にはまた上がっている」という方の多くで、この前鋸筋の機能低下が確認されます。肩を揉むのではなく、前鋸筋を正しく機能させることが根本的な解決につながります。

肩甲骨の動きを悪くする生活習慣

呼吸パターンの乱れと首こりの深い関係

呼吸は1日に約2万回行われます。この呼吸のパターンが身体に与える影響は、想像以上に大きいものです。

本来、深い呼吸は横隔膜(肺の下にある薄いドーム状の筋肉)が主役として行います。横隔膜が下がることで肺が広がり、空気が入る——この「腹式呼吸・横隔膜呼吸」が理想的なパターンです。ところがストレス・緊張・猫背姿勢が続くと、横隔膜の動きが制限され、代わりに首や肩の筋肉(斜角筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋上部)が補助的に使われるようになります。これを「過剰な胸式呼吸」と呼びます。

2万回の呼吸のたびに首・肩の筋肉が余計に動かされ続ければ、それだけで慢性的な緊張・疲労の原因になります。頭痛を伴う首こりの方に呼吸を確認すると、ほぼ全員が浅い胸式呼吸の習慣になっています。

さらに呼吸の乱れは自律神経系にも影響します。浅い呼吸が続くと交感神経優位の状態が続き、筋肉の緊張が取れにくくなります。「肩のこりが眠っても取れない」という症状の背景に、呼吸パターンの問題が潜んでいることは非常に多いです。

てぃーぐすいでのアプローチ

当院では、頭痛・首こりで来られた方に対して、必ず「なぜそこが緊張しているのか」を探ることから始めます。首や肩を直接施術する前に、胸椎の可動性・肩甲骨の動き・呼吸パターンを評価し、そこに原因があればそこから変えていきます。

施術と並行して大切にしているのはセルフケアの指導です。院にいる90分の変化を、院にいない23時間の日常で維持・発展させるための動きや呼吸法をお伝えします。「マッサージをやめたら戻った」ではなく、「自分で身体をコントロールできるようになった」状態を目指します。それが当院の言う「卒業」です。

HOME CARE — 今日からできる胸椎・呼吸へのアプローチ

よくある質問

Q. 整形外科でレントゲンを撮っても異常なしと言われました。

レントゲンは骨の形状を見る検査です。胸椎の可動性の低下・肩甲骨の動きの制限・呼吸パターンの乱れは画像検査では映りません。「異常なし」は「何も問題がない」ではなく「骨に構造的な異常はない」という意味です。機能的な問題は評価の仕方が違います。

Q. 片頭痛がありますが、身体のケアで変わりますか?

片頭痛には血管・神経系の要因が絡むため、すべてが身体ケアで解決するとは言えません。ただし頸椎の緊張・後頭下筋群の硬さ・呼吸パターンが片頭痛の誘発要因となっているケースは多く、これらを改善することで発症頻度が減ったという方は多くいらっしゃいます。

Q. ストレートネックと言われています。治りますか?

ストレートネック(頸椎の生理的前弯の消失)は、姿勢と筋肉の機能を変えることで改善の余地があります。胸椎の伸展・肩甲骨の安定化・呼吸パターンの正常化によって頸椎への負担が減り、自然なカーブが戻ってくるケースは多いです。

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