座っていて立ち上がる瞬間が、怖かった——とその方は言った。
椅子から立って最初の一歩。車を降りた直後の歩き始め。朝、ベッドから起き上がるとき。毎回、股関節のあたりに鈍い痛みが走る。長く歩いていると、だんだん重だるくなってくる。
整形外科で検査を受けた。変形の程度は、それほど強くはなかった。でも医師にこう言われた。「このまま痛みが続くようであれば、手術を検討した方がいいかもしれません。」
決断できなかった。手術に踏み切れるほどの確信も、このまま続けていく自信も、どちらもなかった。そんなとき、知人にてぃーぐすいを紹介されて来院した。
最初に確認したのは、股関節だった。
可動域、筋肉の状態、痛みが出るポジション。そこから周囲のつながりを辿っていく。股関節の動きを補っている筋肉、骨盤の傾き、膝の動き方、そして足首へ。身体はひとつのつながったシステムで、どこかの動きが制限されると、別の場所がそれを補おうとする。
チェックしながら、話も聞いた。今の症状だけでなく、その方の身体の歴史を。
すると、人生の中で、足首やふくらはぎに繰り返し負担をかけていた時期があったことがわかってきた。正座を長時間行ったり、畑の草取りでしゃがみ込む時間が長かったりという生活が続いていたという。
身体のつながりと、その人の歴史。この2つが重なったとき、キーになる場所が見えてきた。
足首とふくらはぎは、歩くたびに地面からの衝撃を吸収し、力を上へ伝える。ここに長年の積み重ねが残って硬くなっていると、その上の膝や股関節が補う形で余分な仕事をし続けることになる。
痛みが出る場所と、問題が始まった場所は、違うことがある。
この方の場合、股関節の痛みと連動するふくらはぎをチェックすると、膝に近い外側が特に固く、そこに圧をかけると股関節のあたりにも反応が出た。
施術はふくらはぎへのアプローチを中心に進めた。
動き出しのこわばりが、少しずつ軽くなっていった。変形の程度は変わらない。でも、痛みは変わった。
長く歩いたあとの重だるさも、変化してきた。
ふくらはぎの外側、膝に近い部分には腓骨(ひこつ)という細い骨があり、そのまわりの筋肉が足首と膝の動きに深く関わっています。ここが硬くなると、歩行時に足首が適切に衝撃を吸収できなくなり、その余波は膝を越えて股関節まで届きます。長い年月をかけて積み上がったその負担が、股関節痛として現れることがあります。
施術と並行して、自宅でのセルフケアにも取り組んでもらった。
ふくらはぎの、膝に近い外側。ここを毎日、両手の指でゆっくりほぐしてもらうことにした。施術の効果を「保つため」ではなく、自分で自分の身体に働きかける習慣をつくるために。
数週間後、「セルフケアをしたら、翌日の動き出しが違う気がする」という言葉を聞いた。
さらに動きやすくなってきた、と言う。
ふくらはぎの外側、膝の少し下あたりを、両手の親指や人差し指でゆっくり圧をかけながらほぐします。
💡 できれば湯船の中で行うのが理想です。身体が温まり筋肉がほぐれた状態で行うと、より効果的です。
身体には、弱いところを強いところが補う仕組みがある。
足首やふくらはぎが長年の疲労を抱えていると、その上の股関節が常に余分な仕事を引き受け続ける。それが何年も積み重なると、痛みとして現れてくる。
この方の場合も、股関節の変形がそれほど強くなかったにもかかわらず痛みが続いていたのは、そういうことだったのではないかと、私は考えている。
手術が必要かどうかを判断するのは、整形外科医とご本人です。てぃーぐすいがその選択に口を出す立場にはありません。
ただ、「手術の前に、一度全身を診てほしい」と来てくださる方に、変化が出ることはある。
股関節が何年も痛い。変形はそれほどではないのに、なぜかずっと痛い。
そのような方に、来てもらい、話を聴き、からだを診させてもらえたら嬉しいです。
てぃーぐすいは那覇市首里にある完全予約制の身体専門院です。
初回体験セッション(90分・¥6,000)から始められます。